『コクリコ坂から』の主人公、メルこと松崎海が、コクリコ荘を一人で切り盛りしている理由は、彼女がコクリコ荘を営んでいることに関係しています。
また、早くに父親を亡くし、母親も家に不在である状況が多いため、メルは頼れる人がいないのです。
そのため、作中ではメルばかりだけが家事をしている描写があります。
学生でありながら、同居人の食事まで準備している様子を見て、かわいそうでは?と思った人も少なくないはず。
そこで今回は、メルだけが家事をする理由や親がいない事情について深掘りしていきます!
コクリコ坂からではメルばかり家事をするのはなぜ?
コクリコ荘はメルと祖母で運営している下宿屋
コクリコ荘は、メルの祖母とメルの二人で営んでいる下宿屋です。
住んでいる人から家賃と食費を受け取る代わりに、メルが洗濯や食事の提供をしています。
メルの祖母はあくまで経営者で、コクリコ荘を切り盛りすることは、メルの仕事だという取り決めを、予め二人の間で取り決めているのではないでしょうか?
また、責任感の強いメルにとって、住んでいる人達のお世話をすることは、メルの性に合っているようにも感じます。
弟や妹が手伝わないのはなぜ?
弟や妹が、家事を手伝わない理由は、何でも手際良くこなすメルを見ているため、甘えているのだと思います。
甘えられていることも、メルは分かりきっているでしょうね。
それに、甘えられると余計頑張ってしまう性分のようにも感じます。
両親がいない弟や妹にとって、自分が親代わりなのだからしっかりしないといけないという気持ちが、目に見えて分かりますね。
ただ、責任感が強すぎるために、そこまで気を張らなくても良いところまで、気を張っているような気がします。
メルの心の中は、常に緊張の糸がピーンと張り詰めていて、誰にも甘えられないことが分かります。
実際に、俊との複雑な関係性で悩んだ際にも、誰にも打ち明けることができずに一人で悩んでいましたよね。
メルは責任感が強すぎる
家事や、ガリ切りなど器用にこなすメルですが、意外と不器用なのかもしれません。
そして、一人で頑張り過ぎてしまうことで、オーバーヒートするメルの性格は、妹がよく分かっているように思います。
メルが俊とのことで落ち込み、夕飯や次の日の朝ご飯の準備ができていない時は、妹の空が代わりに準備をしていました。
持ちつ持たれつだということがわかりますね。
父親が死んで可哀想なメル
メルの父親、澤村雄一郎は船乗りでした。
朝鮮戦争に巻き込まれてしまった雄一郎は、幼いメルたちを残して死んでしまいました。
雄一郎がまだ生きていた頃、船乗りという職業柄、いつ帰宅するか分からない雄一郎に対して、メルは毎日旗を上げていました。
旗の意味は「安全な航行を祈る」という意味のもので、雄一郎が迷子にならずに帰ってこれるように、メルは旗を出しながら雄一郎の帰りを待っていたのです。
結局、雄一郎は戦争に巻き込まれて帰らない人となりますが、メルは雄一郎の死を知った後でも旗を上げ続けています。
船上で戦争に巻き込まれてしまったこともあり、父親の死に実際に対面することはなく、死んだという知らせしか聞いていないメルは、雄一郎の死を心の底から受け入れられないのだと思います。
また、受け入れられない様子は、メルの夢にも現れています。
夢の中に出てくる雄一郎の姿は、まるで本物のように鮮明です。
「海、今度は長くいられるよ。大きくなったなあ。」
という言葉は、海が今、一番望んでいる言葉なのではないでしょうか。
人の死、ましてや家族の死は簡単に受け入れられるものではないので、メルはこれからも旗を上げ続けると思います。
いずれ雄一郎の死をしっかり受け止めた際には、旗を上げる意味合いが「雄一郎の死を供養する」という意味に変わるかもしれませんね。
コクリコ坂から|なぜ母親は海外に行っている?
あるラジオ番組に『さよならの夏』をリクエストしたもんですから、また『コクリコ坂から』を観たくなりました♪
このシーンは毎回涙腺崩壊です。
いままで気丈に母を演じてきたメルが帰国した母の前でようやく娘に戻れました。
ここからラストへの爽やかな展開がダイスキです♪#コクリコ坂から pic.twitter.com/hQv51Iw2iu— ぱごすけ (@pagos_ke) July 2, 2017
メルの母親、松崎良子は大学の助教授で、研究のためにアメリカへ行っています。
何の研究かは詳しく書かれていませんが、日本で研究するよりも、アメリカで研究するほうが環境が優れているため、渡米しているのだと思います。
良子の過去は、実家の医業を継ぐことなく、雄一郎と駆け落ちしました。
また、メルがお腹にいる時から学業に専念していたということからも分かる通り、子供ができたとしても自分のやりたいことを貫くタイプだということがわかります。
メル達のそばにいない時間のほうが長いですが、メルの心の動きを敏感に感じているところからも、勘が鋭く聡明で、メルを心から想っていることが分かります。
俊と自分が兄弟なのか?と良子に聞いた際にも、メルが俊を好きだという気持ちに気がつきました。
母親の口から言ったとしても、確証が薄いかもしれないと悟った良子は、翌日に俊の育ての父親にメルが悩んでいることを相談しました。
偶然なのか、引き合わせたのかは分かりませんが、結果的にメルと俊が兄弟ではないと断定づけることができ、メルの表情に安堵が見られます。
もし、良子が俊の育ての父親に相談をしていなかったから、事は運ばなかったかもしれません。
娘の辛さを分かっている良子だからこそ、海の心を落ち着けるために取った行動だと思うと、海のことを大切に想っていることが分かります。
昭和38の古き良き日本を舞台にしたジブリ作品である「コクリコ坂から」。 物語の主人公である松崎海(メル)は、海外に渡った母に代わって家事をこなす優秀な娘です。 しかし映画の中ではそんなメルの母親に関する情報は乏しく、海外に仕事で[…]
まとめ:コクリコ坂からのメルの事情
- メルはコクリコ荘を祖母と一緒に運営している
- メルの父親は幼い時に朝鮮戦争で亡くなっている
- メルの母親は海外に留学しに行っていて、たまに帰ってくる
今回はコクリコ坂の主人公であるメルについてご紹介しました。
メルのような、どんなに大変な状況でも気丈とした姿にはとても感銘を受けますよね。