亡き父を偲び、毎朝海に信号旗を揚げる少女と、ボートから返事を送る少年の淡い恋の物語として有名なジブリ映画『コクリコ坂から』。
舞台は昭和38年、東京オリンピックを翌年に控えた、活気に溢れた横浜です。
貿易文化が根付く横浜特有の西洋と日本文化の融合が美しく忠実に再現されている事も話題となりました。
突然突きつけられる運命に翻弄されながらも想いあう二人の姿は何度見ても感動します。
そこでこの記事では、その運命の鍵を握る男、沢村雄一郎についてリサーチしていきますので見ていきましょう。
コクリコ坂からの沢村雄一郎とは?
イケメン澤村雄一郎の声も実は岡田准一ですよ件#コクリコ坂から pic.twitter.com/GeQzDIuj40
— フミフミ (@fumi_tofumi) August 12, 2016
主人公「松崎海」の父親であり、海が幼い頃、朝鮮戦争にて機雷に当たり戦死しています。
海の母親、良子とは医者家系であった松崎家からの猛反対により駆け落ちしました。
この時代の駆け落ちは禁断の恋という感じがしてエモいですよね。
海が俊に見せた写真にうつる二人、「立花」「小野寺」とは親友です。
ある日突然、戦死してしまった立花の赤ん坊を抱きかかえて帰宅し、母親も出産後まもなくして亡くなってしまった事からこのままだと孤児院行きだと良子に訴えました。
この赤子こそ俊なのです。
自分の子だと役所に届けまで出してしまった雄一郎に攻める事も疑う事もせず、
「無鉄砲だったけどあなたのお父さんはとてもいい男だったの。」
と良子は海に発言しています。
一般的な考えからしたら、どういう事?!と質問攻めにしてしまいそうですが、良子の対応から見ても信頼の厚い男性であったのではないでしょうか。
作中でのビジュアル、良子の発言からもかなりのイケメンだった事が伺えます。
沢村はなぜ子を渡す時に説明しなかった?
しかし少々、いや、だいぶ言葉足らずでは?沢村さん。と言いたくなるところです。
俊の養父である風間にしっかり説明していたら、海と俊は苦しまなかったのにと歯がゆく思ってしまうファンの方も多いのではないのでしょうか?
海を身ごもっており、間もなく出産を控えた良子は育てられる状況ではなかった為、雄一郎の船乗り仲間に赤子の引き取り手を見つけました。
その人物こそ、俊の養父である風間です。
実の父がいることをなぜ説明しなかったのか?と、とても気になるところですよね。
作中の発言や関係性などから考察していきます。
考察① 実は沢村の子だったのでは?
雄一郎の声を担当したのは、俊の声を演じた岡田純一さんです。若き日の良子の声もまた海の声を演じる長澤まさみさんが担当されています。
そして、俊が風間に雄一郎について尋ねた際に、「近頃沢村に似てきたな。」という風間の発言から、本当に俊の父親なのでは?と疑ってしまいます。
こちらについては遺伝子検査をしない限り確証はありませんが、俊を連れ帰った時の良子の反応、
もう一人の親友である小野寺の発言から、雄一郎の子ではないようです。
考察② 風間との関係性
風間とは船乗り仲間であり、親友の子供を自分の戸籍に入れてしまうくらいですから友達思いで人情に熱い人物である事が分かります。
また作中で、風間が
「ミルク代を送ってくれていた。」
と言っていた点から、亡き親友の代わりに支援できるのは自分しかいなく、自分の子としておくことで風間夫妻が遠慮せず受け取れるように、ミルク代を支援する理由付けにもなると考えたのではないでしょうか。
考察③ 説明する機会を失った?
雄一郎が風間の元に俊を連れていった時、俊は泣きわめいており、その姿を見た風間の妻はとっさにおっぱいを飲ませてあげていました。
その姿を夫でない男性がそこにいるのも帰ったほうがいいかなと申し訳ない気持ちになってしまいそうです。
しかし、もし説明する気があったら外で待つなり、後日話すなり方法はいくらでも考えられる為、この説の可能性はないでしょう。
真実は不明ですが、男らしく人情深い雄一郎の性格から、立花や風間の為に説明しなかったのではないでしょうか。
俊は沢村が父親じゃないといつ気付いた?
海への思いを断ち切ろうと距離を置く俊に対し、毎日旗を揚げて父を呼んでいたから、父が自分の代わりに俊を贈ってくれたのだと例え兄妹でも変わらない想いをぶつける海(メル)。
俊もまた海への想いを打ち明けました。
そんな俊が、沢村が父親ではないと気付いたのは映画の終盤、残された写真に写る親友の一人、小野寺の「君は立花の子だ。俺が沢村でもそうしていたと思う。」という発言だと思われます。
唯一、俊の実の父親である立花を知る人物であり、沢村と3人は親友だった事から、当時の状況やどんな人物なのか深く知っているはずです。
良子も海の話を聞いた後、小野寺を訪ねている所も信頼の厚さが分かりますね。
そんな小野寺の発言が俊の父親は雄一郎ではない。と俊と海の不安を払拭してくれた事が小野寺との会話した後の二人の顔から伺えます。
まとめ:コクリコ坂からの沢村雄一郎
- 沢村は松崎海の父親
- 立花や風間のことを思って本当のことを黙っていた可能性が高い
- 俊は小野寺から説明を受けて真実を知った
家族や友人を大切に想う雄一郎の人物像がさらに見えた気がします。
知らずして信号旗で会話をしていた二人が出会い、恋に落ちるなんて素敵ですね。
先日何百回目であろう、コクリコ坂を鑑賞したのですが物語の面白さは然る事ながら、ジブリならではの時代背景の描写の美しさ、登場キャラクターの細かい人物設定に毎回新たな発見がある事に驚かされます。
まだまだ続くおうち時間に是非考察含め、ご自身でも想像して楽しんでみてください。