スタジオジブリ長編アニメーション「もののけ姫」のヒロインであるサンは、今までのジブリ作品の中でも、一味違うヒロイン設定となっています。
山犬に育てられ、野獣的で攻撃的なヒロインです。
そんなサンの顔には赤い模様が描かれていますが、刺青なのか化粧なのか、そしてなぜサンが山犬に育てられる事になったのかを、ここでは紹介していこうと思います。
もののけ姫のサンの模様は刺青?化粧?
サンの顔の模様は刺青です。
これはもののけ姫のムックである「もののけ姫 (ロマンアルバム)」に記載されている内容です。
山犬が刺青を入れられるはずがない為、恐らくサンが自分で刺青を入れたのかと思われます。
壮絶な痛みを伴ったと思われますが、そこまでして人間との決別をはかり山犬になろうとしたサンの信念に感服しますね。
普通は痛過ぎて気を失いそうですが。さらにサンの顔の模様は、アイヌ民族の模様を参考にしていると考えられています。
アイヌの女性には、成長に合わせて身体に刺青を入れる習慣がありました。
初潮(=生理)を迎えた際に「手、腕、額」に刺青を入れていました。
さらに結婚した際には、「唇の周り」に刺青を入れていたのです。
現代ではオシャレのイメージの強い刺青ですが、元々は自身のアイデンティティを確立するための一種の表現だったんですね。
女性の成長を示すための刺青というアイヌの文化は、サンの自分が山犬であるという意思表示にマッチする考え方ですので、アイヌ民族の模様を参考にしているという考え方は間違っていないかと思います。
サンの顔の模様の意味
サンの顔の模様は、森を守るために、もののけとして人間と闘うというサンの意思の表れかと思われます。
山犬に育てられたサンは、自分は山犬であり、モロや兄弟達と共に森を守る事は自分の使命であると考えています。
しかし、シシ神の森に住むもののけ達から見ても、サンは明らかに人間です。
作中においても、共に森を守ろうとしている猩々達に人間である事を指摘されています。
そこでサンは、自身の顔に蓋をする事で、人間との決別をはかったと思われます。
タタラ場で戦う際には、土面を被っていました。
恐らくあの土面がサンにとっての人間を倒すというやる気スイッチのような物かと思います。
現代人がスーツを着る事で、仕事モードに入るというのと同じ考え方です。
そしてさらに顔の模様は、仮面を被って人間を倒すモードに入るというだけではなく、地肌に仮面を付けている状態にし、24時間365日、人間を倒すというモードである事を表しており、自分は人間では無く山犬であるというサンの意思の表れだと思われます。
学校生活に例えれば、サンは必死に仲間に入ろうとしている異国の転校生といったところでしょうか。
サンの生い立ちと母親の存在について
個人的にはエボシが母親なのではないかと考えています。
その説を説明するにあたり、まずエボシについて紹介していきます。
実はエボシは昔、倭寇(=海賊)の頭領と結婚していたのです。
そして頭領である自分の旦那を殺し、その財産を全て自分のものにし、タタラ場を造ったと考えられています。
突拍子もない話ですが、これは宮崎駿氏が、設定したエボシの過去なので確かな事です。
そして、ここからは推測になりますが、その海賊の頭領とエボシの間に産まれたのがサンではないかと個人的には考えています。
タタラ場を作った際に、森を切り開いたはずです、
その時にモロの逆鱗に触れ、生贄を差し出したと考えても不思議ではありません。
タタラ場の民の誰かの赤子を生贄にするのではなく、ボスである自分がそれを成すべきという考えに至ってもエボシのキャラクターの設定上は可笑しくないかと思われます。
それにモロは気づいており、人間=エボシを憎んでいるのではないでしょうか。
個人的な推測に過ぎませんが、あり得ない話では無いかと思います。
まとめ:もののけ姫のサンの刺青について
- サンの顔の模様は刺青
- 刺青にはもののけとして人間と戦うという意味が込められている可能性が高い
- サンの母親はエボシ説が濃厚
モロとアシタカの会話の中で、人間にもなれず、山犬にもなりきれないという言葉の通り、辛い使命を担ったサンについてご理解いただけたかと思います。
また、もしかしたらエボシが肉親であるのかもしれません。
サンにそのような裏設定があるという事を考えた上で、もののけ姫を見ていただくと、また違った角度から本作が楽しめるのではないでしょうか。