2011年に公開された映画『コクリコ坂から』。
戦時中の高校生の心の機微を描いた作品です。
高校一年生のヒロイン小松崎 海(こまつざき うみ)と風間 俊(かざま しゅん)は、とても仲が良く自転車で二人乗りをしたりしています。
海は、作中ではメルと呼ばれています。メルの呼び名の由来は、フランス語の海(ラ・メール/la mer)からきています。
このメルと俊ですが、お互いがひかれあっているのに、おつきあいはしていません。結婚ができない関係でもあります。
今回は、コクリコ坂からのメルと俊は最終的に付き合うのかどうか、そして、なぜ結婚できないのかの理由を検証します。
コクリコ坂からメルと俊は付き合う?
コクリコ坂の映画の中で、メルと俊は相思相愛です。
相思相愛になるまでの背景について見ていきましょう。
メルと俊の出会いについて
二人の出会いのきっかけは、男子文化部の部室棟カルチェラタンを老朽化に伴い取り壊すかどうかの学生運動でした。
俊は、カルチェラタンの取り壊し反対派で、周りを率いるリーダー的存在です。ひときわ目を引く彼に、メルがちょっとした助言をすることが仲良くなるきっかけでした。
メルと俊の仲が急接近
その後二人の仲は、急接近。自転車に二人乗りしたり、コロッケを買い食いしたり。
ずっと、友達同士にしては距離が近く、恋人同士にしては微妙な距離感でいます。
告白シーンについて
告白シーンもきちんと描かれています。
それまでも両想いのような雰囲気を醸し出していた二人。
ですが、市役所で父親がおなじ兄妹かもしれないと知ってしまった俊。
距離を置こうと試みますが、メルから名言ともいえる告白を受けます。
「私、風間さんが好き」
「血がつながっていても、たとえ兄妹でも、ずーっと好き」
このキュンキュンした告白に対して、俊の答えは
「俺もお前が好きだ」
多くの女性ファンは「キャー♡」と言わんばかりのシーンでした。
いつの時代も人とときめかせるセリフは、素敵ですね。
最終的にメルと俊は付き合う?
周りをも甘い空気にさせる告白シーンを経たその後、二人はおつきあいに発展するのでしょうか?
映画では描かれていませんが、おそらくは付き合っていないと推察します。
その理由は、コクリコ坂の時代背景にあります。コクリコ坂の時代背景は、昭和38年で東京オリンピックが開催される前の年です。
第二次世界大戦が終わり高度経済成長真っただ中のころです。
このころの結婚観としては、まだまだ家と家とのつながりを大切にするお見合い結婚です。
俊は一年後に大学に進学しています。当時、大学に進学することはそこそこの資産家であったと予想されます。
結婚前の男女がおつきあいをすることが、まだ良く思われなかった時代です。
更に、メルと俊は兄妹であったかもしれないということもあり、気持ちを伝えあったもののおつきあいには発展しなかったのではないかと思われます。
付き合うのではないかといった説もあり
コクリコ坂には、原作漫画があります。
『コクリコ坂から』は佐山哲郎(原作)高橋千鶴(作画)の二人によって、1980年少女漫画雑誌「なかよし」に漫画として掲載されました。
ただしこの時は、人気低迷のため当初の予定より早めに打ち切られました。この漫画の中では、二人のその後についても描かれています。
二人が血縁関係かもしれないという事実を覆したのは、メルの母親です。
メルの母親は、仕事の関係でアメリカに行っていました。その母親が、澤村さんが見ず知らずの赤ん坊を連れて帰ってきたことを知っていたのです。
この赤ん坊こそが、俊でした。
漫画の中で、メルの母親は「この先どうなるかわからないが、戸籍を移す必要がありそう」と言っています。
この時点で、二人はすでにおつきあいしていたのかもしれません。メルと俊、二人のその後は読者の想像に任せるように漫画は終わっています。
コクリコ坂から・メルと俊は法律的に結婚できない?
メルと俊は、法律的に結婚できない関係にいます。
その理由は、戸籍上の父親が一緒だからです。
あくまでも戸籍上であって、血のつながりはありません。時代が時代なので、兄弟として認識されています。
メルの戸籍上の父親の名前は、『澤村 雄一郎』です。すでに戦死していますが、まぎれもなく血を分けた親子です。
俊の戸籍上の父親も『澤村 雄一郎』です。ですが、俊の実の父親は『立花 洋』という人とのこと。
澤村さんと立花さんは、親友でした。俊の母親は出産と同時に亡くなってしまっているので、俊は本当は天涯孤独の身だったのです。
親友の忘れ形見である俊を、澤村さんは孤児院に行かせないようにするため、実の子供として戸籍登録を行っていたのが要因。
しかし、生活が苦しく満足に育てることができなくなり、俊は風間家に養子に出されました。
俊は、戸籍上は『澤村雄一郎の実子』として登録されているので、メルとは兄妹関係にあります。
『風間家の養子』であっても、血縁関係にある戸籍登録を変更しない限り、法律的には結婚できません。
まとめ
- メルと俊は相思相愛の仲
- メルと俊は付き合っていないと予想される
- メルと俊は血筋的に結婚できない
『コクリコ坂から』のメルと俊は、最終的に付き合うのか。法的に結婚できない理由について、今回はまとめました。
時代に翻弄されながらも、お互いに恋をして生きる二人の姿はとても素敵です。家族の形も様々で、いろいろな人の思いを背負って生きてきたんだということがよくわかりますね。
男女の結婚やお付き合いに関しては、今の時代のような気軽なものではなく、家を継ぐことを左右する大切なものでもあるため、二人はその後おつきあいや結婚には至らなかったかもと想像します。
ですが、あれだけ熱烈な告白をされたら、惹かれる気持ちは止められなくなってしまいますよね。
もしかすると、二人でいろいろな問題を乗り越えて結ばれてほしいなとも考えてしまいませんか。