多くの人を惑わせたであろうメルと俊は兄弟なのか?という疑問ですが、物語のラストにおいて、2人は兄弟ではないということが判明しました。
映画を見ていると兄妹だと思わせる描写がたくさんありますので、衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。
それにしても、メルと俊が兄弟だと匂わせるシーンがいくつかあります。
今回は、疑問に残るシーンをおさらいしつつ、2人が兄弟ではないという確証のもとで解説していきます。
コクリコ坂からのメルと俊は兄弟じゃない?
物語の中で、メルと俊は兄弟ではないということがメルの母親・松崎良子の口から明かされていました。
俊の父親が明かされる
母親の口から伝えられた内容は、
「俊の父親は澤村雄一郎ではなく、立花洋だ。」
ということでした。
メルと俊のそれぞれが持っている写真には、澤村雄一郎・立花洋・小野寺善雄の3人が写っています。
3人は皆船乗りの仲間であり、生き抜いていこうと誓い合っていた親友でした。
立花は船の事故で亡くなっている
しかし、立花は船の事故で一番先に亡くなってしまいます。
実は、立花と立花の奥さんには、産まれたばかりの赤ちゃん、俊がいました。
奥さんも立花同様、俊を産んだ後に亡くなってしまい、親がいない俊の存在を澤村が聞きつけたのです。
両親がいなくなってしまった子供は、戦争が勃発していた時代において、俊に限らず多くの子供が孤児院へ預けられる時代でした。
孤児院送りを懸念した澤村は、無鉄砲にも自分が父親だと戸籍に登録し、俊を引き取りました。
当時、澤村と松崎良子の間にはまだ産まれていないメルがいたため、俊を同時に育てることは現実的ではありませんでした。
幸運なことに、同じ船乗り仲間である風間と、風間の奥さんが子供を欲しがっていることが分かり、澤村は風間に俊を引き渡したのです。
以上の一連の流れが、松崎良子からメルへ伝えられた内容でした。
メルの母が嘘をついている可能性は?
となると、戸籍上は澤村が父親ということになっていますが、俊の本当の父親は立花だということになります。
あくまで、「母親から伝えられたこと」なので、もしかしたら母親が嘘をついているのでは?という見方もありますが、嘘をついている線は薄いと思います。
なぜなら、母親の言っていた「無鉄砲だけどあなたのお父さんは本当にいい男だったの。」という言葉の重みに、全ての真相が詰まっている気がするからです。
幼き我が子を残して死んでいった親友の思いを、澤村が責任を持って引き継いだというエピソードがしっくり来ます。
メルの父親と俊の父親はだれ?
前の項でも説明した通り、メルの父親は澤村雄一郎で、俊の父親は立花洋です。
俊の父親関連においては、少し複雑です。
実の父親は立花で、戸籍上の父親は澤村、そして育ての父親は風間という、3人の人物がそれぞれ違う形で俊の父親です。
メルの父親、澤村は船の事故によってメルが幼い頃に亡くなってしまいました。
俊の実の父親、立花も同様に既に亡くなっています。
メルと俊が兄弟だと思った理由
俊が、メルの父親と自分の父親が同じ人物であると思い悩むシーンがありました。
観ている私たち側からしたら、
「メルと俊は兄弟なのか…!」
と思ってしまうシーンでもありますよね。
他にも、いくつかのシーンで、メルと俊が兄弟なのではないか?と疑う所があります。
育ての父と俊が船に乗っていた
まず、俊が育ての父親の風間と船に乗っているシーンです。
俊は、風間に「自分の本当の父親は澤村雄一郎なのか?」と聞いた際に、過去の真相を説明しました。
風間の口から伝えられた真相は、「澤村が赤子の俊を連れて家に来た」ということであって、肝心の立花洋が実の父親だという真相が抜けていました。
そうなると一気に意味合いが違ってきてしまい、メルと俊は兄弟だという線が濃厚となってしまいますね。
恐らく、風間は本当の真相を知らされていなかったのだと思います。
事情をややこしくさせると考えた澤村は、立花のことは言わずに、ただ風間夫婦に引き渡したので、風間自身も澤村が実の父親だと思っていたのでしょう。
まさか、未来にメルと俊が想い合うなんてことを、澤村は思ってもみなかったでしょうね。
メルが母親に対して質問したシーン
もう一箇所、メルと俊の兄弟説を匂わせるシーンが、メルが母親に対して「もしも俊が本当に澤村の子供だったら?」という問いかけをするシーンです。
メルの問いに母親は、「会いたいわ。似てる?この写真と。」というように返すのです。
血は繋がっていないはずなのに、なぜこのような発言をしたのか?と疑問に思う人も多いと思います。
母親がなぜこのような発言をしたかの理由は、溢れる愛情故の発言だと思いました。
もちろん、澤村が浮気をしていたとは到底思っていない母親ですが、澤村の必死な思いで孤児院送りにならなかった俊なのですから、澤村と俊が、目に見えない精神で繋がっていることは確かです。
例え血が繋がっていないとしても、亡き澤村の必死な思いが俊の心に宿り、その俊が今も元気にしていると聞いたのなら、母親としては胸がいっぱいになるのではないでしょうか。
まとめ:メルと俊は兄妹ではなかったが近しい間柄だった
- メルと俊は兄妹ではない
- 俊の父親は立花で、メルの父親は澤村
- 映画の中では兄妹だと思わせるシーンがいくつかあった
今回は、メルと俊が兄弟ではない理由についての考察をご紹介しました。
時代の背景もあり、複雑な結びつきとなっているメルと俊ですが、そんな2人だからこそ、亡き父親たちの思いを受け継いで強く生き抜いていくのではないでしょうか。