最近、旅に出られていないせいか、ついつい夜中に「Campfire(キャンプファイヤー)」のクラファンページを眺めてしまうんです。
あれって、いろんな人の夢が詰まっていて、まるで世界を小さく旅しているような気分になります。
そんなある夜、ふと目に止まったのがこのプロジェクトでした。
タイトルは、「気候変動で消えゆくタイ首都圏少数民族の陶芸文化を本で世界へ未来へ受け継ぐ知恵」。
最初は「タイの陶芸?なんだか難しそう」と思ったんですが、説明を読んでいくうちに、どんどん引き込まれてしまいました。
「文化を未来へ、今支援を。」という言葉が、妙に胸に響いたんです。
旅好きとして、現地の人の暮らしや文化に触れるたびに“この風景を残したい”と思う瞬間があるんですが、それに近い感覚でした。
クレット島とMon(モン)族の陶芸文化
このプロジェクトの舞台は、バンコク近郊にあるクレット島(Ko Kret)という場所です。
チャオプラヤ川に浮かぶ小さな島で、観光ガイドでも「焼き物の島」と紹介されることがあります。
そこに暮らすのがMon族(モン族)という少数民族。
彼らは昔から陶芸の技を受け継いできた人たちなんです。
モン族の陶芸って、器の形はもちろんですが、表面に彫り込まれた模様や絵柄がとにかく繊細。
花や植物、神話をモチーフにしたデザインが多くて、じっと見ているとまるで祈りが込められているように感じます。

聞けば、その模様には「三界」という、命と宇宙のつながりを表す意味があるそうです。
土と火、そして人の呼吸が作る器。一見シンプルに見えるけど、そこに込められた哲学はとても深い。
現地の粘土は、砂が少なくてとてもきめ細かく、中国や日本の高級な急須にも使われるような質なんだとか。
しかも、鉄分が多く火に弱いという特徴を逆手に取って、普通の炎でじっくり焼くことで、備前焼のような重厚さを出すそうです。
実はこの技法、日本にもつながっていて、16〜17世紀に「南蛮焼き締め」として東南アジアから伝わったといわれています。
沖縄を経て、日本の備前焼や常滑焼にも影響を与えたとか。
ただ、常滑や備前は朝鮮半島からの技術が伝来したのですが、使っている土はきめ細かく砂分が少ないという特徴があるようで、田んぼから取れる土であることが共通しています。
そう聞くと、なんだか遠い国の話じゃなくて、どこか親近感がわいてきませんか?
クレット島の文化を残すことは、実は日本の陶芸史をたどることにもつながるんです。
気候変動と都市化がもたらす危機

でも、そんな美しい文化がいま、静かに消えつつあるそうです。
バンコク周辺の都市化が進んで、土地が宅地に変わり、若い世代は都会へ。
さらに気候変動の影響で水害が増え、窯が壊れたり、材料の土が流されてしまったりしている。
「タイの少数民族=山地民=福祉開発」というイメージが強いせいで、文化として注目されることも少なく、支援の手も届きにくいのだとか。
このままだと、モン族の陶芸は「誰も知らないうちに」失われてしまうかもしれないんです。
だからこそ、このプロジェクトは立ち上がりました。
クレット島の職人たちの声や技術を記録して、一冊の本として残す。
その本を通じて、文化を世界へ、そして未来へとつなげていこうという挑戦なんです。
プロジェクトオーナーのご紹介!森谷峻介さんという方について

このプロジェクトを立ち上げたのは、森谷峻介(もりや しゅんすけ)さん。
1993年生まれで、まだ30代前半の若手陶芸家さんです。
森谷さんがクレット島を初めて訪れたのは2018年。現地で見た景色や人々の暮らしに心を打たれ、翌年に再訪。
そのとき、気候変動の被害を受けて窯が壊れ、職人たちが苦しむ姿を見て、「この文化を残したい」と強く思ったそうです。
それから彼の人生は大きく動き出します。
自分で窯を作り、放送大学で少数民族の研究を始め、タイ語も独学で学び、さらには学芸員資格を取るために大学で学び直しもしているとか。
行動力がすごいですよね。また、ご本人からプロジェクトに対する想いを聞いたところ、こんなコメントもいただきました。
生まれつき骨形成不全症(思春期に寛解)とADHDという大病で社会と希薄であり夢を叶えるためにお金ではなく私の熱意を受け止めて動いたインフルエンサーを含めた協働者や仲間や友人を作りたい。
とても素敵な志なので、心から応援したいと思います。
そして今は、タイの伝統美術と日本の陶芸技法を融合させた「和タイ折衷」という新しい技法書を作ろうとしているそうです。
ただの職人じゃなくて、研究者でもあり、文化を未来に届ける“語り部”でもある。そんな印象を受けました。
クラファンの中身をのぞいてみる!支援金の使い道
プロジェクトの目標金額は200万円。
資金の使い道もすごく具体的で、
- 現地取材費
- 書籍制作費
- 映像記録費
- 陶芸作品制作
- リターン発送費
など、ひとつひとつ明確に説明されています。
クラファンって、どうしても「どこに使われるのか分かりにくい」と感じることが多いですが、森谷さんのプロジェクトは透明性が高くて安心できる印象でした。
「文化を守る」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、森谷さんにとっては“守る”というより“つなげる”ことなんだと思います。
本を作ることで、現地の人の声が世界に届き、それを読んだ人がまた次の行動を起こす。
そうやって少しずつ、文化が続いていく。その「橋渡し」をするための本なんですよね。
これは嬉しい!支援リターンも素敵!

リターンの内容も魅力的でした。5,000円から支援できて、電子書籍やお礼メールがもらえます。
1万円の支援だと紙の書籍とお礼状、1万5,000円なら現地の制作過程を写真や動画で見られる報告付き。
そして3万円の支援で、自分の名前を本に載せてもらえるそうです。
文化を未来に残すプロジェクトの一部に自分の名前が刻まれるって、ちょっとロマンありますよね。
個人的に一番惹かれたのは、5万円のリターン。
Mon族の職人さんが手がけたオリジナル陶芸作品(小)が届くんです。
その土地の土と火、そして人の想いが詰まった作品が自分の手元に届くなんて、旅好きとしてはたまらないです。
企業・団体向けの10万円コースもあって、ロゴ掲載などの特典もあるようでした。
支援の形はいろいろあって、それぞれのスタイルで関われるのがいいなと思いました。
本という「タイムカプセル」

森谷さんの作る本は、単なる写真集や観光ガイドではなく、文化そのものを未来へ残す記録書なんです。
火を使って器を焼くように、時間をかけて丁寧に作り上げる。それはきっと「記録」というより「祈り」に近いんじゃないかと感じました。
土を触る手、彫刻刀を動かす手、そして本をめくる手。時代や国を超えて、その“手の記憶”がつながっていくのが文化なんですよね。
そう思うと、このプロジェクトってすごくロマンチックなんです。
旅の終わりに

夜中にたまたま見つけたクラファンで、まさかこんなに心を動かされるとは思いませんでした。
旅(クラファンのネットサーフィン)をしていると、道の途中でふと「この景色、いつまでも残ってほしいな」と思うことがあります。
でも、実際にはそれを形に残すのって難しい。
森谷さんはそれを本という形でやろうとしている。その勇気と情熱に、心から拍手を送りたくなりました。
もしこの記事を読んで、少しでも「文化を未来に残すって素敵だな」と感じたなら、Campfireのページをのぞいてみてください。
文化を未来へ、今支援を。そんな優しい言葉が、いま一番必要なのかもしれません。
プロジェクト概要まとめ
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プロジェクト名:気候変動で消えゆくタイ首都圏少数民族の陶芸文化を本で世界へ未来へ受け継ぐ知恵
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オーナー:森谷峻介
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目標金額:200万円
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主な用途:現地取材費・書籍制作費・映像記録費・リターン制作費・手数料など
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実施プラットフォーム:Campfire
文化は誰かの手で作られて、誰かの想いで続いていくもの。
森谷さんの挑戦は、タイと日本、そして過去と未来をつなぐ“旅”そのものだと感じました。
次はこの本が完成したとき、ページをめくりながら、また新しい旅に出たいです。
