松井優征先生の新連載『逃げ上手の若君』の人気はとどまることを知りません。
物語の主人公である北条時行は、史実では鎌倉を3度奪還した後、捕らえられて処刑されたと伝えられています。
この作品ではどのような過程を経て最後に至るのか、考察していきたいと思います。
逃げ上手の若君・北条時行の最後はどうなる?終わり方を考察
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— TVアニメ『逃げ上手の若君』 (@nigewaka_anime) June 6, 2024
『逃げ上手の若君』における北条時行の最後の結末について解説していきます。
連載開始からラストは決まっていた
松井先生は、インタビューで明かされたところによると、過去の作品「ネウロ」「暗殺教室」では、物語の結末を考えた上で連載を開始していたことを語っています。
また、物語がいつ打ち切られてもスムーズに終われるように、トゥルーエンドまでに複数のクライマックスを用意していたとも述べていました。
例えば、「ネウロ」のHAL編や「暗殺教室」の鷹岡編などがそのクライマックスに該当するでしょう。
「逃げ若」でも、中先代の乱で諏訪頼重が亡くなった後など、最終回かもしれないと思わせるようなエピソードがありました。
実際、そこで終わっても大きな反発はなかったのではないかと考えられます。なぜなら、中先代の乱は史実における「北条時行」にとってのピークだからです。
しかし、「逃げ若」はまだまだ続くようです。では、松井先生はどこまで物語を描くつもりなのでしょうか?
「ネウロ」と「暗殺教室」を読んだことがある筆者として、さまざまな可能性を考慮しながら以下で考察していきたいと思います。
「時行の死」で物語が終わる可能性が高い
「主人公の時行が亡くなるまで」物語が続く可能性は高いです。
このシナリオは、ある意味でネガティブエンディングとも言えます。
歴史において時行は足利尊氏に対抗することができず、その前に捕らえられ処刑されていることから(1353年)最後の結末は時行の死で終わることも考えられるでしょう。
少年漫画としては、主人公の結末としてはあまりにも悲しすぎるかもしれませんが、時行の処刑が父である北条高時の死からちょうど20年後という点も含め、ここで物語を終わらせることは興味深い試みと言えますね。
松井先生はおそらく、「逃げ若」を通じて読者に歴史を教育しようとしているため、時行の死後の歴史に興味を持つ読者に自発的に学ばせようとしている可能性も考えられます。
時行も死ぬが尊氏の死まで描かれる可能性もある
また、別の考察としては足利尊氏の死まで描かれ、それがラストになるという結末です。
時行は処刑されますが、それ以降は史実に基づき、足利尊氏の死までが描かれます。
尊氏は、時行の死から5年後の「1358年」に52歳で亡くなくなるのが歴史的事実です。
尊氏の庶子でありながら尊氏に認められなかった直冬が、尊氏との戦いの際に射た一矢が原因となりました。
この矢傷が尊氏の死に至ったとされていますが、現在一般的に認識されているのは「腫れ物から敗血症にかかって死亡」という解釈です。しかし、この作品ではその腫れ物に対して呪術的要素が加わる可能性も考えられます。
例えば、護良親王が見た尊氏の身に宿る化け物が腫れ物として現れたとか、時行たちや尊氏に恨みを持つ人々の妄執が集まった腫れ物など、展開は様々です。この場合、敵討ちは果たされる可能性があり、一応は良い結末となるかもしれません。
また、「おーにさんこーちら」の鈴の音が尊氏にだけ聞こえる演出なども考えられますね。
どのみち、腫れ物で死亡するという人間らしい死因は、尊氏の神格を剥奪する象徴と言えるでしょう。
要するに、時行は処刑されましたが、尊氏の死には無関係ではないと言えます。
この展開は、他の作品でも見られる手法であり、作者が意図している可能性も高いです。
特に、尊氏の死までを描こうとする意図から、尊氏の不可解な性格が強調されていることがわかりますね。
史実とは異なるハッピーエンド説も
逃若党のメンバーであり、特に変装の達人であるゲンバが時行と入れ替わり、処刑されるという説も考えられます。
この身代わり説の可能性は、SNS上でも注目されている説の一つですね。
「逃げ上手」がテーマであるだけに、時行に史実の「死」からも逃れてほしいという読者からの願いが感じられます。
ゲンバは自分の利益のためだけに郎党になりましたが、最終的には自らの命を時行に捧げるという感動的な展開が考えられます。
ただし、ゲンバのモデルが「北条に仕える風魔一族の祖」に基づくとするなら、ゲンバの死を望まない読者もいます。
ゲンバと夏ちゃんとの間に子供がいるかどうかが、この展開の分かれ道となる可能性があるでしょう。
決着がつかずフワッとした感じで終わる説
次に考えられるのは、時行が死ぬこともなく、足利打倒も果たせないままで作品が終了するというシナリオです。
過去には、特定の作者が歴史漫画を描く際に、キャラクターへの愛着が強くてそのキャラクターを殺せなくなり、結果として作品を終わらせたという珍しい事例もあるそうです。
これはまさに最悪の結末かもしれません。
ただし、松井先生の場合は「打ち切り」であろうと「キャラクターの命運」であろうと、それは考えにくいですね。
松井先生は計算の達人であり、キャラクターの生死という重要な要素を計画通りに進めることができるでしょう。「ネウロ」「暗殺教室」を見ても、そういったことはなかったですから。
打ち切りも考えにくく、現時点では少年漫画ジャンプでも看板作品に成長している逃げ若とは縁がないように思われます。
以上の理由から、個人的にはこの説をあまり支持できません。
時行が室町幕府を開いて終わる説
これは少し考えにくいかもしれませんが、歴史漫画として実際の歴史に忠実であると銘打っていても、エンターテイメントである以上、全く異なる結末になる展開も考えられます。
例えば、「時行が足利一族を根絶やしにし、鎌倉幕府を再建する」「時行が室町幕府を設立する」といったシナリオが考えられます。
もし、時行が室町幕府を開くことになったら征夷大将軍になるってこともありえるのです。
読者が時行を熱烈に応援することで、作者がそのような結末を描く必要性に迫られることもあるかもしれませんが、確かにあるかもしれませんね?
ただし、松井先生が南北朝時代を選んだ理由は、
- 競合作品が少ないマイナーな時代であること
- カオスな倫理観が最も顕著な時代であり、これをエンターテイメントに昇華できるかは作家の腕の見せ所であると思ったこと
- この漫画を通して歴史に興味を持ってもらいたいという想い
だと考えます。
そのため、あまりにも史実から大きく逸脱した結末は、この作品の最後にはないと思います。
まとめ:逃げ上手の若君の最後・ラストについて
- 『逃げ上手の若君』は史実に基づいているので時行が死亡する可能性が高い
- もし時行が勝利するラストだったら征夷大将軍になることもありえる
- 決着がつかない結末もあるかもしれないが、それはイヤだ(笑)
以上、『逃げ上手の若君』の最後・ラストについて考察してきました。ジャンプらしく時行がハッピーになるラストを飾ってほしいですね。
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